洋楽からインスパイアされた和モノ(第1回)

インスパイア。多少ニュアンス変わりますが悪い言い方だとパクリ。ですが、ここではそんなパクリを肯定的に書かせてもらいます。

まず、昔は作詞・作曲・編曲家とその筋の専門の人が沢山いたんですよね。売れっ子となるとそれは多忙であったと推測します。それ故でしょうか?手抜きか分かりませんが、洋楽のあの曲に似たフレーズやらメロディの曲がアルバムの中にひっそり隠れてたりする事があるんです。それは単純に影響を受けた曲に自然に似てしまったのかも知れませんし、確信犯として似せたのかも知れません。

ですが、その作者の「この人こんな音楽が好きだったんだ!?」とバックボーンが垣間見れた瞬間の驚きもあります。例えば有名どころだと、RCサクセション「雨上がりの夜空に」の元ネタと言われているMOTT THE HOOPLE「Drivin’ Sister」とか。でもそれは洋楽を通って和モノを聴いている私としては“ニヤリ”なんです。サンプリング肯定派でもあるので元ネタをディグった(掘り下げた)感覚と非常に近いです。

と言う訳で、今回はそんな洋楽にインスパイアされた和モノを比較的有名なのも含め一部ご紹介します。自分の好みのジャンルからのチョイスとなりますが。

■真夜中のドア~Stay With Me/松原みき (1979年)

元ネタ:It’s The Falling Love/CAROLE BAYER SAGER (LP『…Too』1978年)

まずは洋楽経由の和モノ好きにはかなり知られたインスパイア。歌謡曲のソウルフルなアレンジに定評がある林哲司ワークです。ちなみに「It’s The Falling Love」は後にMICHAEL JACKSONがカバー(こちらの方が有名ですね)。しばたはつみに至っては日本語でカバーしており、最近7インチ化もされました。松原みきはこの曲以外も洋楽の影響が感じられるインスパイア曲が結構あって、洋楽のフィルターを通した和モノ好きはそういった意味でも楽しめるかと思います。

■スクランブル・エッグ/野口五郎(LP『On The Corner』1981年)

元ネタ:Closer To Your Love/AL JARREAU(LP『Breakin’ Away』1981年)

私が監修した「和モノAto Z」に掲載したのもあってか(?)野口五郎のNY,LA録音の諸作品並みに最近はDJ人気が高いと思われる本アルバム。この曲の作曲は野口五郎、編曲に富樫春生。以外と知られていませんが、このオシャレ曲にも元ネタがあるんです!イントロ~Aメロの歌の雰囲気までいい感じにインスパイアされてます。ですがALのリリースが6/30、野口のリリースが同年10/10。思い立ったが吉日、最速で拝借したと思われます。

■Midnight Down Town/杉山清貴&オメガトライブ(LP『Aqua City』1983年)

元ネタ:Brazilian Love Affair/GEORGE DUKE(LP『A Brazilian Love Affair』1980年)

またもやイントロの特徴的なスラップベースにAメロの歌い出しまで、ほぼまんまですw クラブ・クラシックとして有名である元曲がいいと言うのもありますが、いい崩し具合でこれはこれで良い!さらにこの曲が収録された同アルバムにはSMAP「がんばりましょう」のサビの元ネタと言われてるNITEFLYTE「You Are」を彼らより11年も前に歌い方を少々変え大胆にインスパイアされている「Transit In Summer」も収録。

■ L.A. Night/阿川泰子 (LP『Gravy』1984年)

元ネタ:London Town/LIGHT OF THE WORLD (LP『Round Trip』1980年)

出だしのベースラインとかヴァイブを使用してるところとか、これをしてインスパイアされてないと言ったら嘘でしょ?となるくらいソックリ。元ネタはINCOGNITOのBLUEYも在籍してたイギリスのジャズ・ファンク・バンド。この曲がロンドンのDJに昔からウケが良いのはそれを踏まえての人気だと思われます。BPMも一緒なので前後にミックスしやすい!甲乙付けがたいくらいどちらも好きです。

■The Way To Drean/山本達彦(LP『Spectra』1986年)

元ネタ:Everybody Wants To Rule The World/Tears For Fears (LP『Songs For Big Chair』 1985年)

イントロ部分とシャッフルしたリズム&ベースラインにシンセまで。この曲に関してはグルーヴはかなり影響を受けてますが、メロディは違いますね。でもどう聴いても「Everybody Wants To~」ですw ちなみに似てると言うことでこの曲を選んでますが、このアルバムではA-3「哀しみの外電(テレグラム)」とB-3「From The Night」が80’sファンキーでお気に入りです。

総じて、インスパイア系に多いのはイントロとAメロまでが似ていてサビが違う、又はサビが似ていて他が違うという傾向が強いようです。昔何気なく聴いていた曲が、好きだったあの曲が既存の曲をパクっていたとか一瞬ショックでしょうが、これも楽しめるとリスナーとしての音楽の幅はもっと広がると私は思います。


DJ 吉沢 Dynamite.jp
94~02年迄バンドTHEATRE BROOKのDJとして活動。2015年、リットーミュージックよりJapanese Groove Disc Guide「和モノA to Z」の監修・執筆を担当。近年の和モノ・シーンのトップDJである。
既存曲をそのままプレイするに飽き足らず、スクラッチやサンプラーを用いてのフィンガードラミングやマイク・パフォーマンスを交えたライヴ感120%!エンターテイメントDJ!!

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