「閉店ナレーション入り業務用レコード」のお話

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DJ 吉沢 Dynamite.jp

今回は一般的なホーム・リスニングなレコードではなく商店や興行場で活躍する業務用のレコードをご紹介。

さて、私、DJイベントなどで終盤の選曲を任せられることがあるのですが、最後の曲が終わっても中々お客さんが帰ってくれない時があります。余韻に浸るお客さん側の気持ちもわかるのですが、営業後の後片付けがあるお店側としては早く店を閉めたい訳ですね。そんな時にお客さんに快く帰って頂ける必須アイテムが、業務用レコード!

ところで、ここ日本においては閉店の音楽は「蛍の光」が定番であります。原題「Auld Lang Syne」と言うスコットランド民謡であるこの曲がなぜ閉店用BGMの定番になったのかはさておき、この曲がかかると日本で育ったあなたなら当然お店が閉店なんだと気づく筈です。

しかし更に閉店を促すのに効果的なのがナレーション入り!

これらのレコードは「蛍の光」のオケに日本語でナレーションが入るお店側がプレイするレコードなのであります。ナレーションが入れば「帰れ!」と言われてるのも同然、これを聴いても店内に居座れる図太い人はほとんどいないでしょう? とても即効性のあるレコードでして、私も現場で大変重宝している隠しネタなのであります(ここでお披露目してしまいましたが)w

では先ずこちらから。

団塊世代前後に親しまれていた、ポピュラー音楽/イージーリスニングのヒットメーカー、ビリー・ヴォーン楽団。こちらの「蛍の光」はムーディーなイージーリスニング・ジャズ調。

『毎度ご来店下さいまして誠にありがとうございます。これをもちまして本日は閉店させて頂きます。またのお越しをお待ち申し上げます。本日はご来店ありがとうございました。』

と女性の声で1度だけナレーションが入ります。B面「お別れの時」はスチール・ギターも入るので少々ハワイアン調です。

続いてもう1枚。

こちらも同じくビリー・ヴォーン楽団による「蛍の光」なのですが、先程とアレンジが異なりストリングスが効いたヴァイブが転がるジャズで、お洒落な仕上がりになってます。女性ナレーションも前半と後半に2回入り個人的にはこちらの方をよくプレイします。

B面はジャック・ディメロ・グランド・オーケストラによる「夕焼け小やけ」ですが、こちらは“閉店”のセリフ部分が”閉館”に変わってナレーションされている、映画館や劇場で重宝されたであろう閉館用ヴァージョン。

盤面に“×”が書いてあると言うことは、この面をプレイするな!と言う意味なのでしょう。やはり蛍の光」は今も昔も閉店用のBGMとして定番ですね。ある意味国民的ソングでは無いでしょうか?

ちなみにこのレコード、画像はその後購入したストック用なのですが、1991年にDJバイトをしてたディスコの備品を譲って貰って以来27年も使い続けてます。これを和モノイベントの最後にプレイすると、より“和モノ感”が出て締まるんですよね。人前に立ってDJする私にとっては大切な“業務用レコード”なのであります!


DJ 吉沢 Dynamite.jp
94~02年迄バンドTHEATRE BROOKのDJとして活動。2015年、リットーミュージックよりJapanese Groove Disc Guide「和モノA to Z」の監修・執筆を担当。近年の和モノ・シーンのトップDJである。
既存曲をそのままプレイするに飽き足らず、スクラッチやサンプラーを用いてのフィンガードラミングやマイク・パフォーマンスを交えたライヴ感120%!エンターテイメントDJ!!

世界中のレコードを、その手の中に

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