HEATWAVE 山口洋さんのお宅訪問インタビュー前編

WRITER
ジョー横溝
山口 洋 やまぐちひろし
ヴォーカル、ギター。福岡生まれ。
1979年福岡にて、ヒートウェイヴを結成。ほぼ全曲の作詞、作曲を担当。
山口洋名義のアルバムとしては、阿蘇でレコーディングした『made in ASO』(2007)や、宮城県白石市のカフェでライヴ録音した『Live at Cafe Milton』(2009)があり、2011年には細海魚との共作『SPEECHLESS』を発表。 また、ドロレス・キーン、ドーナル・ラニー、シャロン・シャノン、キーラ、リアム・オ・メンリィなど、アイルランドを代表するミュージシャンとの共演も多い。
初のセルフカバーアルバム『Your Songs』2017.12.26リリース。
https://heatwaveshop.stores.jp

――今日は山口さんご自宅にお邪魔しております。先ずは、レコードの所有枚数から教えてください。
「お金なかったから、ミュージシャンとして東京出てくる時に、沢山持ってたレコードのほとんど全部売って、そのお金で出てきたの。でも、最近は地方に行った時にレコード屋さんに行くのが趣味になってまた買っていて、増えてはいるけど、俺は身軽でいたいので、このラックにあるだけ。


これ以上増やす気はないので、増えたら誰かにあげちゃうの。CDもそうだけど。そうするとだんだんエキスが濃くなってくるんですよ。でもレコードを買うのは楽しいね。それと今、なんか今中学生みたいで、CHABOさんのギターテックの方がレコードとかCDを買うと必ず俺にメールくれるの。『コレいいっすよ』って。で、俺も買ったら『コレいいっすよ』みたいなこともしてて。それも楽しいね」

――それは楽しそうですね。ところで最初に買ったレコードを覚えてますか?
「この『Let It Be』が初めて買ってもらったレコードです。小学校4年の時ですよ」

――なぜ『Let It Be』を?
「福岡のフタタっていう洋服屋さんで映画『Let It Be』を観て、で、すごいものを観てしまったと思って、親父に『買ってくれ!』って言って。これがその現物です」

――これがその実物なんですね。
「そう。だから1973年、今から43年前の話しです」

――それにしても、小学校4年でビートルズのレコード買うなんて少しませてますね!
「そうかな?九州とかで育つとさ、九州から出たことないからラジオが世界に通じてる唯一のドアみたいなもんで、ラジオはよく聴いてたから、ビートルズは耳にしてた。でも、そんな九州の他の地域のことすらようわかんないのに、ロンドンのAPPLEの屋上で演奏してるビートルズを観た時は、なんかすごいものを見てしまったぞと思ったよね。しかも、結局俺が一番好きな曲ってこのアルバムに入っている『The Long And Winding Road』だから。一番好きな曲が最初に買ったレコードに入っているっていうのがすごいなって。だからこのレコードのことは忘れられないし、去年、自分のラジオ番組でこのレコードをかけた時はウルっときたもん(笑)」

――それは当時を思い出してですか?
「それもあるし、なんにも変わらずこのレコードが好きだということと、その40数年間の道程と、自分がミュージシャンとかラジオでしゃべる人間という送り手になったということと。それがまたちょうど熊本のラジオだったんだけど、傷ついている熊本の人たちが、小学生が聴くかもしれないという可能性とか、なんかそういうことが総合的にグッときたって感じかな」

――せっかくなので他にも想い出のレコード教えてください。
「『BLACK AND BLUE』!これは中学一年だったと思うんだけど、当時シリア・ポールっていう人が土曜日の午後にFM東京で『ダイヤトーンポップスベスト10』っていう番組をやってて。その番組で「Hot Stuff」が流れてきたんだよね。チャートの1位だったの「Hot Stuff」が。で、俺たちめっちゃ豊かな時代に育ったわけですよ。ストーンズがラジオのチャート1位だもん。そのギターの感じとかファンキーな感じがビートルズに続いて俺の人生を変えたので。この『BLACK AND BLUE』も当時買った現物です。13歳か14歳だと思うけどパン屋でバイトして買いました。まだ俺がギターを弾く前のことだよね」

――ちなみに、当時の地元のレコード屋さんってどんな感じだったんですか?ストーンズもちゃんと売ってたんですか(笑)?
「売ってた売ってた。で、次の想い出のレコード、ルー・リードの『ブルー・マスク』の話をすると、この『ブルー・マスク』を地元のレコード屋さんで買った時に、ニコみたいな女性が売ってて、その女性が俺に『わたしはコレが売れる日を夢みてた』って言ったんだよ(笑)」

――これ、輸入盤ですよね?
「そうだね」」

――ということは、そのニコに似た女性はルー・リードが好きでわざわざ海外から仕入れていたってことですよね?
「そうそう。なんかちょっといい話じゃない?つまり、九州のちっさい街にもこういうの売ってる店があったし、天神っていうデカいとこに行くとルーツ・ミュージックを、要するにジミー・リードやマディー・ウォーターズとかが高校時代に買えたんだよね。そういうルーツ・ミュージックをちゃんと教えてくれる大人もいたけど、お前はブルースじゃなくて、こっちを聞け!みたいに全然違う音楽を教えてくれた人もいて。そういう意味では俺の育った街は面倒臭かったけど、すごくよかった。で、『ブルー・マスク』に出会った時にもう脳みそを破壊されたというか、『すげー!』『これだ!』みたいな。このアルバムの曲、詞がすごくてさ。特に作家・デルモア・シュアルツのことを歌った曲「My House」は、もう言葉にできない猥褻さがあって…。このアルバムを大学くらいで聞いたときは完全に脳みそをもっていかれましたね」

まだまだ続くレコードトーク、山口洋さんお宅訪問篇 後編をお楽しみに。

次ページ:
まだまだ続く想い出のレコード

世界中のレコードを、その手の中に

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